【生活】なぜ人間の能力に差が生じるのか 先天的か、あるいは後天的か

教養

 こんにちは、ダチョウです!

 人間の能力の違いについて、ふと考えることがありましたので、本記事では、人類の歴史をもとに、「環境の差異が個人の能力に影響を与える」ということを考えていきたいと思います。

 世界には、生活水準が高い地域とそうでない地域があります。いわゆる、先進国と途上国です。この格差は、もともとその地域間で個体の遺伝子レベルが異なることによってもたらされたものなのでしょうか。まず述べておきたいのが、人間の能力は、本質的に変わらないということです。能力に違いができてしまうのは、人々のおかれた環境がそれぞれ異なることによるものなのです。

 アメリカの生物学者ジャレド・ダイアモンドは次のように述べています。

「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない。」 

 それでは、次の5つのキーワードをもとに、どのように個の集合体である地域社会が、富める地域とそうではない地域に別れて形成されていったのかを見ていきます。

1、身の回りに栽培化できる植物があったか
2、身の回りに家畜化できる動物がいたか
3、農業技術を発展させ、いち早く定住化できたか
4、東西に行き交う大陸に所属していたか
5、病原菌への免疫を蓄積してきたか

1、身の回りに栽培化できる植物があったか
 自然界には、栽培化できる植物とそうではない植物があります。毒性を有するものもあります。地理的に、栽培化できる植物が豊富に存在していた地域は、肥沃の三日月地帯とよばれる、現在のトルコ、シリア、ヨルダン、イラクがあるところです。この地域は、地中海性気候に属し、穏やかで湿潤な冬、そして長くて暑く乾いた夏に恵まれています。古代、この地域に暮らしていた人びとは、自然界に多々存在する野生植物種の交配を長期にわたって繰り返すことで、現在、主食として用いられているムギをいち早く栽培化することに成功しました。

2、身の回りに家畜化できる動物がいたか
 肥沃の三日月地帯には、植物種が豊富であっただけでなく、家畜化可能な動物種も豊富に存在していました。特に重要なのは、馬、牛、豚、羊、山羊が生息していたことです。この地域の人びとは、これらの動物を家畜化することで、生存のために必要なタンパク源を手に入れたり、近隣諸国との交易、あるいは戦いの手段を手にすることができました。

3、農業技術を発展させ、いち早く定住化できたか
 1と2の条件をいち早く獲得できた人びとは、野生動物を追っかけ回して、住まいを転々とするような生活から解放されます。食物の栽培と動物の家畜化に成功した人びとは、一つの地域に根ざして生産活動を開始します。

 農業生産の開始時期の違いが、人類の運命を左右しました。

 農耕を営む人びとは、穀物を一度栽培すると、定期的なメンテナンスのみで、食料を手にすることができます。余剰食物は、備蓄にまわすことができます。人びとは、狩猟的な生活に比べ、より自由時間を手にします。自由時間を手にした人びとは、農業技術の改良に励んだり、その技術を後世に伝えるべく文字を生み出したりします。また、定住地域の秩序をつくるために、政治機構を発達させることにも時間をついやします。そのような技術を世代を通して蓄積していくことで、社会はより多くの人口を抱えることが可能となり、やがて社会は複雑に階層化され、大規模な文明が誕生します。

4、東西に行き交う大陸に所属していたか
 次に大陸が広がる方向です。地球上の東西にわたって長く伸びる大陸がユーラシアです。肥沃の三日月地帯はこの大陸内にあります。東西に広がるところにポイントがあります。植物は環境の変化に弱いです。順応するためには、歳月をかけて種を改良し、適応していく必要があります。つまり、東西間では、環境の変化があまりないため、肥沃の三日月地帯で開発された農業技術や統治システムは、あっという間に、西はヨーロッパへ、東は日本へと伝播していきました。

 一方、南北間はどうでしょうか。アフリカ大陸と南米大陸です。南北では環境の変化が顕著です。人の往来を困難にするような条件もあります。そのため、南北間では農業等の技術の伝播が遮断されました。それらの地域に住む人びとは、長期にわたって原始的な生活水準にとどまります。

5、病原菌への免疫を蓄積してきたか
 最後にウイルスへの抵抗力です。この点に関して、特にヨーロッパの環境が非常に優秀でした。再生可能なヨーロッパの土壌は、農業と牧畜に最適な環境でした。また、山脈や河川の絶妙な地理的条件は、ヨーロッパ地域に複数の独立した共同体の形成をもたらしました。ヨーロッパ人はその定住地域で、長期にわたって、農業と牧畜を基調におく生産活動をおこなうことで、家畜等からの感染を通して、病原菌に対する免疫力を高めていきました。

 病原菌に対する免疫力の重要性は、ヨーロッパ人が新大陸に乗り込んだときに顕著となります。航海技術を修得して、アメリカ大陸に乗り込んだスペイン人は、あっけなく南米地域を制圧してしまいます。南米にはインカ帝国という巨大な共同体があったにもかかわらずです。その理由は、第一に、スペイン人がヨーロッパから持ち込んだ病原菌です。南米の人びとはこのヨーロッパ産のウイルスに対する免疫力がなかったがために、かなりの人口を失いました。また、スペイン人が文明の中で蓄積してきた、文字や政治機構、さらには乗馬、銃、船といった戦闘技術は、圧倒的な力の差を物語っています。

いい環境にいる→情報量が多い→技術を進歩させられる→生活水準の高い共同体をつくれる

 さて、この一連の人類の歴史をもとに、子育てについて考えてみたいものです。成人してどのような知的能力をもつようになるかは、子ども時代の社会環境に大きく影響されます。「いち早い農耕化と定住化」は、安定した衣食住を有しているかをさします。「農業技術や大陸」の問題は、たくさんの情報を有しているかということを物語っています。知的発育を促すためには、情報量が必要不可欠です。そして、「病原菌」の例は、病気に対する免疫をもっているかどうかというそもそもの意味ではなくて、異文化や他の共同体、また価値観の異なる人間と台頭に渡り合っていける免疫力があるかどうかといったことに置き換えてみると面白いかもしれません。

 参考文献は、こちらです。ダイアモンド先生の本は、とても面白いです。

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 あと、和辻哲郎の『風土』も面白いかもしれません。

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