【本】スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』とは?あらすじと内容について紹介

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こんにちは。ダチョウです!

本記事は、タイトルの本についてです。

子<br>ダチョウ

ダチョウ

『グレート・ギャツビー』(The Great Gatby) は、1925年に、スコット・フィッツジェラルドによって執筆されたで。

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あらすじ

 舞台は、アメリカ東部のニューヨークにあるロング・アイランド島。語り手は、ニック・キャラウェイ。1922年の夏に起きた出来事をニックが物語る。彼は、中西部の裕福な家庭に育ち、イェール大学に進学。卒業後、世界対戦に従軍。帰国後は、故郷に身を置いていたが、ニューヨークにある証券会社で働くことを決め、ロングアイランドにあるウェスト・エッグに住まいを移す。

 ニックの家の隣にある豪邸では、毎夜豪勢なパーティーが開かれている。彼は、その屋敷の主であるジェイ・ギャツビーという人物に興味を抱く。ある日、ニックはギャツビーのパーティーに招かれ、彼と対面する。やがてニックは、ギャツビーの心に秘められた、デイジーという女性への想いを知ることになる。

 遡ること五年、彼女はギャツビーと交際していた。が、ギャツビーは、世界対戦に従軍することになり、彼女のもとを離れざるを得なかった。帰りを待ちかねたデイジーは、資産家のトム・ブキャナンと結婚し、子どもをもうけていた。しかし、デイジーは、トムとの家庭生活に不満を抱えていた。そんな時、デイジーは、かつての恋人であるギャツビーと出会い、再び彼への愛を甦らせる。

 ある日、ニック、ギャツビー、そしてブキャナン夫妻は、ニューヨークに赴く。やるとこに考えあぐねていた彼らは、最終的に、プラザホテルの一室に落ち着く。デイジーとギャツビーの関係に感づいていたトムとデイジーとの復縁を望むギャツビーは、互いの感情をぶつけ合う。取り乱したデイジーは、ギャツビーとともに街を離れる。道中、デイジーはマートルという女性を引き殺してしまう。マートルの夫は、復讐心にかられ、車の持ち主を突き止める。そしてギャツビーは、その男によって銃殺される。

ニック・キャラウェイとは?

 ニックは、ニューヨークにある証券会社で勤務しています。戦争から中西部の故郷に戻ってきましたが、東部文明への憧れからニューヨークへ移住しました。ちなみに、ギャツビーがニックに興味を抱いた理由は、戦争の体験者であるということと、彼がデイジーと血縁関係をもっていることにありますが、さらには、彼が証券を扱っていることにもあります。ギャツビーは、ニックの収入が低いことを持ち出して、彼に偽造債券の販売を提案しています。さて、「証券業」というのがキーワードです。アメリカの実経済は、1929年に、株式市場が大暴落して、いわゆる世界大恐慌が起こります。ギャツビーの死後間もなくして、ニックはウェスト・エッグを去ります。その際、次のことを口にします。「その土地には何かしら歪められたものがあるように思えるのだ。」アメリカ社会がやがて見ることになる悲劇を示唆しているような一文です。

著者の分身?

 ニック・キャラウェイとジェイ・ギャツビーは、著者フィッツジェラルドの分身であるかのように描かれています。著者は、アメリカの中西部ミネソタ州に生まれました。進学とともに東部へ移住します。そして、妻ゼルダと出会い、彼女と開放的な生活を送り、やがて破滅していきます。理想を追い求め、東部文明の中で破滅していくギャツビーの人生と重なります。一方、ニックは、故郷である西部での生活に退屈さを感じており、東部文明に憧れを抱いていました。しかし、ギャツビーの死をきっかけに、その憧れの地は一転して、堕落の象徴へと変わり果てます。作品の最後で、ニックがトムを子どものように例えている描写が印象的です。これが、著者が東部文明に対して出した結論なのです。

当時のアメリカ社会とは?

 当時のアメリカ社会についてです。まず、ギャツビーの出自の語られ方が興味深いです。「ギャツ」がドイツ系の苗字であることから、ヴェルヘルム皇帝の親戚だとか、戦争中ドイツのスパイだったとかの噂が立ちます。また、ギャツビーのビジネス仲間であるウルフシャイムは、ユダヤ人として描かれています。彼が経営する会社の名前は、「スワスティカ持株会社」です。「スワスティカ(鉤十字)」は、後にナチスのシンボルとなります。第一次世界対戦後のアメリカは、ヨーロッパの中でも、特にドイツ復興に力を入れ、ドイツ社会との繋がりをを強めていました。ドイツ系と噂をされるギャツビーとユダヤ系のギャングであるウルフシャイムは、20年代にアメリカ社会で醸成されていた人種差別や、それに対する人々の不安を物語っています。人種差別といえば、「気をつけないと白人はそのうちにすっかり隅に追いやられてしまうだろう…」というトムの思想からも垣間見ることができます。

 20年代に横行したギャングやフラッパーもポイントです。先に述べたウルフシャイムは、いわばギャングの頭領です。作中に「1919年のワールド・シリーズで、八百長を仕組んだのがあの男だ」とあります。これは、実際に1919年に起きた「ブラックソックス事件」のことであり、ウルフシャイムは、この事件の主犯であった、ユダヤ系のギャングであるアーノルド・ロススタインをモデルにしていると思われます。

 また、自由奔放に振る舞うデイジーも見どころです。デイジーは、20年代の社会現象の一つであるフラッパーの象徴として描かれています。経済が豊かになり、都市が発達していくにつれて、女性の雇用機会が増え、自立する女性が増えていきました。そのような女性たちは、従来の価値観を否定し、精神的にも肉体的にも開放的な女性像を再構築しました。

アメリカのコンプレックスとは?

 ギャツビーの実際の出自は、中西部のノース・ダコタ州です。作中で彼は、「中西部の富裕な家に生まれ、先祖代々オックスフォード大学で教育を受けた家柄だ。」と言っています。しかし、オックスフォードには、5ヶ月間在籍したのみで、また、彼の両親は、中西部のうだつのあがらない貧しい農夫にすぎません。ここに、アメリカ社会がかかえている、イギリスに対するコンプレックスが見てとれます。実際、アメリカには、オックスフォードやケンブリッジ等の地名をもつ場所が存在します。作中でトムは、ギャツビーがオックスフォード卒であることに疑問をもっています。これもコンプレックスの現れです。また、ギャツビーが所有する車やシャツもしかり。彼の車は、イギリス製のロールス・ロイスです。彼のシャツは、すべて英国から取り寄せられたものです。

狂騒の20年代とは?

 1920年代のアメリカ経済についてです。本書は、1925年に執筆されました。当時のアメリカ社会は、狂騒の20年代といわれています。1914年にヨーロッパ大陸で勃発した、第一次世界対戦は、ヨーロッパ社会を荒廃させました。アメリカにとって、国土を消耗しない形式による同戦争への参戦は、自国での兵器の生産と、ヨーロッパへのその輸出により、アメリカ経済に多大な債権をもたらしました。戦争による特需は、大量生産方式という技術革新を産み出し、アメリカを世界一の産業国家へと伸し上げました。

 本書からアメリカの経済を読み取っていく中で、近代の産物である「車」が一つのキーワードになっています。ギャツビーの愛車は、ロールス・ロイスであり、トムの車は、クーペです。両者とも近代資本主義と、同システムが生み出した富の象徴です。

 一方で、灰の谷間にも触れなければなりません。

 灰の谷間について、「ウェスト・エッグとニューヨークのちょうど真ん中あたりになるが、あたかも荒れ果てた土地の一画から身をすくめるかのように…」と作中で描写されています。この通り、灰の谷間は、ニューヨークと富裕層の居住区の中間地点に位置しています。そこには、アメリカの繁栄が生み出した、同国の負の側面がひそんでいるのです。

 灰の谷間では、トムの不倫相手であるマートルの夫ジョージ・ウィルソンが、自動車整備工場を営んでいます。彼は、西部への移住を夢見ながら、細々と生計をたてています。彼の描かれ方は、貧困そのものです。また、灰の谷間の入り口にあるT・J・エクルバーグ博士の存在も印象的です。作中では、人間の行動を監視している神のような存在として描かれてます。しかし、結局のところ、その看板広告は、商業第一主義を物語っているのです。

 もう一つのキーワードは「パーティー」です。毎夜ギャツビー邸で開かれる豪奢なパーティーは、まさに狂気に満ちています。この豪華絢爛な生活を支えるためには、もちろんお金が必要です。ギャツビーの富の源泉は、酒の密造業にあります。彼は、ウルフシャイムとともに、ドラッグストアを買収し、酒の密売を行っているのです。1920年に禁酒法が制定されました。ギャツビーの営みは、法の裏の社会を物語っています。ちなみに、作中のドラッグストアは、シカゴから全米に広まっていったウォルグリーンをモデルにしていると思われます。

アメリカンドリームとは?

 アメリカンドリームについてです。狂騒の20年代は、財を築くことにやっきになった欲望の世界です。著者は、親の資産を引き継いだだけのブキャナン夫妻のような存在に否定的です。彼の理想は、自身の母方の先祖にあります。彼の先祖は、勤勉によって一代限りで財を築きました。貧乏人でも財を築き上げることができることを、そして、裕福な家庭の女性と一緒になることができることを証明しました。デイジーという憧れのために財を築いたギャツビーの純粋な生き方は、フィッツジェラルドの理想そのものなのかもしれません。

ダチョウ<br>先生
ダチョウ
先生

緑色の光がポイントです。灯台の緑色の明かりは、ギャツビーが追い求めたデイジーを意味すると同時に、大航海時代に、ヨーロッパ社会が理想を求めたどり着いた新大陸を意味するのです。

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